昨晩は栃木県の株式会社松井酒造店さんが醸す、松の寿(まつのことぶき)「大吟醸」九郎治14年熟成古酒をいただきました。
このお酒は2013年に5年熟成古酒としてこのブログでも紹介し、その年の由紀の酒best of the yearに輝いたお酒そのものです。あの感動のお酒がさらに8年の歳月を経て、我が家にやってきました。
香り系の酵母が使われていた時代のお酒ですので、一般的には良い熟成をしないことが多いようですが、5年熟成の時点でそれらしきネガティブなものが皆無だっただけに、今回も期待したいところです。と言っても上槽から14年も経過しておりますので、過度な期待は酷というものです。
ただ、これまでに数々の低温長期熟成吟醸酒を飲んできている中で、アルコールが添加されたものの多くに極上の丸味が伴っているのを感じておりますので、そこは大いに期待したいところです。
松の寿(まつのことぶき)「大吟醸」九郎治14年熟成古酒 レビュー
開栓は8月22日(日)で約一ヶ月経過しております。いつもの一合蛇の目猪口に八分目ほど注ぎます。色はうっすらと美しい黄金色で、比較的綺麗に澄んでいます。
飲用温度は8℃くらいから始め、常温に近い14℃くらいまでで楽しみました。上立ち香は、穏やかながら心地よくメロンを思わせるように香ります。出品斗瓶として飲んでいた時の面影も僅かに感じるところが奥ゆかしくもストレスフリー。そして何と言っても熟成からくるソトロン由来の香りはありません。マジか!いったい何度で囲っていたらこうなるのだろう?。素晴らしい。
含むと、…、おお、これぞ極上の丸味。何という安心感!。トロンとした甘味ながら粘性を感じるわけではなく、むしろサラサラと滑っていき、計算されたかのような美しいラインを描く。ああ…、あの蔵で飲ませていただいた超軟水が脳裏をよぎる。人をだめにする魔法のビーズクッションYogibo(ヨギボー)よろしく、もうここから動きたくない感覚に襲われるが、残念ながら僅かな余韻のみ残し捌けていきます。ん?酸に関する記述が出来ていない。これだけ素晴らしい熟成をしている以上、どこかにあったのだろうが思い出せない。
もう一度注意深く含む。この気品、美しいライン。これは咲き始めたころの曼殊沙華だ。自然界のものながらそのシベ(甘味)は、この世のものとは思えないほど見事な曲線を描く。そして先端で輝く可愛らしい余韻の花粉。旨いっす。

咲き始めの曼殊沙華 2021-09-15撮影
SONY α7Ⅲ
Carl Zeiss Makro-Planar T* 2.8/100 AEJ
f/4、1/320sec、ISO-100、WB-3700K
この日に合わせたのは、ピーマン肉詰め。ミンチは最近マイブームの超粗挽き。パキっと焼きあがったピーマンに軟骨を思わせるほどのコリっとした食感の肉の旨味♪。ここに究極にスムースな九郎治が花を添える。お試しあれ。
松井酒造店さんのお酒は細かい情報は全て裏ラベルで、上槽年月と蔵出年月が必ず併記されていてわかりやすいです。他のお蔵さんも最近はシングルタンクが多いと思うので、少なくともBYと製造年月(表示上の蔵出し年月)の表記があると嬉しいです。
松の寿(まつのことぶき)「大吟醸」九郎治14年熟成古酒 データ
醸造元 | 株式会社松井酒造店(栃木県塩谷郡塩谷町) |
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使用酵母 | 栃木県酵母T-1 |
使用米 | 兵庫県産山田錦38%精米 |
日本酒度 | +4 |
酸度 | 1.4 |
アルコール度 | 16度以上17度未満 |
仕込水 | 高原山麓自家湧水(超軟水) |
杜氏 | 松井宣貴(下野杜氏) |
製造年月 | 2007/03 |
蔵出年月 | 2021/07 |
容量 | 720ml |
価格 | 3,500円(税別) |
購入 | 株式会社松井酒造店 |
松の寿(まつのことぶき)「大吟醸」九郎治14年熟成古酒に関するYouTube
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